
五島の海が危機を迎えているということ
五島列島は長い歴史のなかで確かに息づいてきた信仰や、伝統芸能が、形を変えず静かに残っています。多くの魅力がある五島列島ですが、謙虚な島民でも自信をもって胸をはるものが「海」と「魚」です。
五島列島の周辺海域は、島々や複雑な海底地形により、全国屈指の好漁場です。
魚種は250種を超え、全国一位を誇っており、季節ごとに様々な旬の魚が取れることから「釣り人の聖地」としても、有名です。
ですが、地球温暖化が進み、海水温が上昇したことで、海の中の様子がガラリと変わりました。
海藻をエサにしていた魚が、冬も活発に動くようになり、
沢山の魚たちが暮らす「海藻の森」こと「藻場」が急速に姿を消し始めたのです。
海藻をエサとし、人があまり食さない、イスズミ、アイゴといった魚は「駆除」の対象になりました。
これが全国的にも問題になっている藻場の消失、いわゆる「磯焼け」です。

魚が減れば、漁師も減る
磯焼けにより砂漠化した海では、生き物が消えてしまいます。
なぜなら成長するまで藻場で暮らし身を隠していた稚魚(アワビやサザエ、伊勢海老やクエ等)の住処そのものが消えてしまうからです。
磯焼けの対策としては
「海藻を食べてしまい磯焼けを引き起こす原因の魚やウニを、間引く」
「藻場にそうした生き物が入らないよう囲いをする」
といった活動があり、行政から補助金も出てはいますが
漁師にとってみれば奉仕活動の一環という位置にとどまり、負担になる一方です。
現在の磯焼け対策は、「持続的に可能である」とはいいがたい状況にあります。
私たちの取り組み【美味しい商品で、五島の海を守ること】
持続可能性のある確立された磯焼け対策がない中、島民が立ち上がり考えたのが、
「磯焼けの原因を引き起こす駆除の対象となっている植食性の魚を使った魚醤を製造し、事業にできないか」というものでした。
それこそが五島の椿が販売している「五島の醤」です。

五島の醤とは


九州の最西端に位置し、大小さまざまな140の島々からなる長崎県五島列島。
その島で、「島の魚と、島の人々の手しごとで」
【五島の醤(ごとうのひしお)】は生まれました。
五島の魚を、島の花「椿」から取れた「五島つばき酵母」を使って
発酵させて作った魚醤である五島の醤は、
魚の旨みを凝縮し、
酵母のチカラによってフレッシュで華やかな香りに仕上がりました。
この商品の背景には、生産者である金沢鮮魚の「五島の海を守りたい」という願いがこめられています。
生産者“金沢鮮魚”の思い

金沢鮮魚の挑戦~五島の海を守るために~
金沢鮮魚代表 金澤 竜司 氏
五島列島は豊かな漁場として全国でも名を馳せる一方で、「磯焼け」を背景とした漁獲高の減少、漁師の後継者不足などの課題も抱えています。
鮮魚仲卸を営む金沢鮮魚代表の金澤竜司さんは、“未利用魚”に目をつけ、地域の課題解消に動き出します。
未利用魚とは規格外の為、市場に出回らない魚の総称で、駆除対象にもなっている海の砂漠化【磯焼け】の原因の一つと言われる、イスズミ、アイゴ、ニザダイといった食害魚もその一つです。
「駆除される魚を有効活用したかった。お金にならなかった魚を、私が漁師さんから買い上げると、漁師さんも潤うし、一石二鳥だと思った。規格外のアジやアゴ(とびうお)も積極的に買い取って使ってます。味は最高だからね。」
3つのこだわり
~五島つばき酵母のチカラ~
五島の醤は、魚と塩だけで仕込む従来の魚醤の製法に加え、麹と五島列島の椿の花から取れた「五島つばき酵母」を使用しています。五島つばき酵母は、発酵を促進させ、豊かな香りを生み出します。


五島列島の魚100%
五島の醤は、数種類の魚をブレンドして作っています。魚は旬の時期により変化しますが、海藻を食べるイスズミやアイゴ、ニザダイなどの植食魚、規格外のアジ・マダイ・トビウオなど、いずれも五島産の魚にこだわり魚種ごとに醸造。醤油ソムリエ:大浜大地氏の監修のもと独自配合でブレンドしており、凝縮された魚の旨味を、通年、変わらずお届けします。
旨味が多いからできる塩分濃度10%・無添加
五島の醤を作るにあたってこだわったのが塩分濃度10%で仕込むことと、無添加であること。魚の旨みが凝縮されているので、低塩でも物足りなさを感じません。また、保存料、着色料、化学調味料などを一切使わない、こだわり製法の無添加商品です。
一般的な魚醤の塩分濃度(20%~30%)と比べるとかなり低い塩分濃度ですが、毎日、発酵の様子を管理することでこの塩分濃度でも安全安心な商品をお届けしています。

魚種のブレンドについて監修していただきました。

魚種ごとの味わいを最大限に活かすブレンドの監修
醤油ソムリエ 大浜 大地 氏
福萬醤油7代目、九州醤油研究会会長。世界に3人しかいない醤油ソムリエの一人。1821年創業「福萬醤油」7代目。九州しょうゆ約250種類のしょうゆをテイスティング販売する「バル福萬醤油」(福岡市中央区3-6-9)を経営。
五島の醤 -醤油麹-
この魚醤は魚くささを一切感じません。
五島の朝潮のような、爽やかな香りがします。色はうすくちしょうゆのような淡い色味。
旨味が強く、塩味は控えめで、甘みが舌に少し残ります。
おすすめ活用法
炒め物はオリーブオイルと相性◎
煮物は鶏肉と野菜がおすすめ。
熊本や大分の甘いさしみ醤油とブレンドして、刺身魚醤に。

五島の醤 -米麹-
香りは鮮魚と熟成された古酒を感じることができます。
色は、白醤油のような琥珀色。
五島の豊かな魚が凝縮されたように、旨味が強いため、色味が淡い新しいナンプラーとして活用できます。
おすすめ活用方法
炒め物は、ごま油と相性◎
煮物は、魚のアラや野菜がおすすめ。
煎り酒(日本酒に鰹節や梅酢などをブレンドした調味料)とブレンドして、刺身魚醤に。
